フランス語の 話法 と 接続法 1 − Discours & Subjonctif

フランス語を「接続法」の段階で挫折する人って、ものすごーく多いと思っています。

私も、ちゃんと接続法を勉強したのって実は今年に入ってからです。
去年DELF B2を受験した時は文法めちゃくちゃだったってことですね…

だって、「私は行かなくては。」って
Il faut que j’aille
って接続法使うよりも
Je dois aller
って言った方がかんたんですもの。
接続法使わなくても十分意味も通じるし。

でも今年の春、接続法(というよりはフランス語の文法全般)を1ヶ月かけて集中して勉強し直したときに「なんて奥の深い、知的な言語なんだろう!」とフランス語の魅力に改めて気づいたんです。
長年接続法を避けて通っていた自分が恥ずかしい。

一生フランスを愛し続けると忠誠心を誓った以上は、正しく美しいフランス語を話したいですもの。

「文法は一生ものだから」
て、とある先生が言っていたとおりに、語彙は新しいものが次から次へと出てくるけど、文法はよっぽどのことがない限りは一度身につければ一生離れない。

だから自分の備忘録もかねて、これから定期的にフランス語文法の書いていきたいと思います。


「話法」と「接続法」 文章のつくり

まず、「話法 と 接続法」から。

だいたいの文法の教科書って、「話法」と「接続法」の章がめちゃくちゃ離れていますよね。
(そもそも「話法」ってあんまり習った記憶がない…)
でも本当は「話法」と「接続法」は文章の構造が同様なので、近いところで学んだ方がいいのです。

「文章の構造が同様」というのは次のとおり。

  • 主語・動詞を「que」で繋ぐところ(話法は疑問詞や[ce qui][ce que]などがありますが)
  • 「目的語」が「文章」で構成されているところ

2点が共通なんですねー。
「目的語」が「文章」というのは、こういうこと。

「話法」(直接法)と「接続法」の見極め方

じゃあ何が「話法」で何が「接続法」なの?って話ですが
上で見た図の「S + V + que + O」の、V(動詞)によって判断します

↓まとめた図はこちら

話法と接続法(クリックで拡大画像)

que以下の動詞のconjugation

「S + V + que + O」の、Vが「接続法」であれば、que 以下の動詞は「接続法」で活用。
この接続法が苦手意識あったんだけど、活用は「subjonctif présent」(接続法現在)と「subjonctif passé」(接続法過去)の2つの時制しかありません。

「S + V + que + O」の、Vが「話法」であれば、que 以下の動詞は「直接法」か「条件法」で活用。
直接法は7つの時制、条件法は2つの時制があるため、全部で9種類の時制を使い分けなければいけない。
実は接続法よりもずっと大変だったのです…!

どの動詞が話法なのか接続法なのかっていうのは、「習うより慣れよ」てところがあるんですが…
以下の見極め方の感覚を覚えておけば、判断はできます。

動詞の見極め方① 望むか 望まないか

vouloir
désirer
souhaiter
aimer
など、「望む」系動詞はだいたい接続法です。
例外「espérer」だけを覚えておけばいいのです。

この「望むか 望まないか」の感覚で言うと、
ordonner
exiger
なども「que以下のことをしてほしいと望む」系に属するらしいので、命令的動詞も接続法、って区分けすることができます。


動詞の見極め方②「que 以下の文章」が情報か、感情か

話法:彼は私に、彼女は日本人だと言った。
Il m’a dit qu’elle était japonaise.

接続法:私は、彼女が日本人だということを疑っている。
Je doute qu’elle soit japonaise.

話法を見てみましょう。
「彼女は日本人だ」と彼が言ったことは、事実であり「情報」です。
誰が見てもque以下の動詞はゆるぎない事実。
つまり、que以下が「情報」(話し手によって変わらないこと)であれば話法。

では接続法。
「彼女が日本人だ」ということを疑っているのは「私」。
第三者は疑っていない可能性が十分にある。
つまり、それは「感情」なので、接続法の可能性があり得る
なぜ「あり得る」、と断定的でないかは次にて。

動詞の見極め方③「que 以下の文章」の確率が50%以上か

これは話法か接続法か、っていうよりも「接続法か」っていうときの見極め方です。

確率が50%以上の感覚はちょっとだけ難しいです。
なぜなら「思う」penserって、日本人って曖昧な感じで使いますよね。
でもフランス人は75%の確証を持って「思う」んです。ふむ。。。

クリックで拡大

この図で言うと、「Il est certain que」は100%確かなことだから直接法、
「Il se peut que 」は50%の確証だから接続法、
「Il est douteux que 」は25%だから接続法、って感じです。

動詞の見極め方④「que 以下の文章」が過去か未来か

接続法は、「que以下は未来」って感覚を持つのが大切です。

Je veux que mon mari apprenne le français.

私は夫がフランス語を学んでもらいたいです、という文章。
que以下の文章が、veux (vouloir)の動詞よりも未来のことを指している、という感覚はなんとなくつかめると思います。

じゃあ「夫が5年前にフランス語を学んでいればよかったのに」は?

→それは「今思う」ではなく、「後悔」になるのですが、後悔するの「regretter」も「残念に思う」なので接続法らしいです。
Je regrette que mon mari n’ait pas appris le français !


フランス語を学習しているかたは、よーーーーーくご存知かと思いますが、フランス語は結構な確率で「例外」が現れます

なのでこの見極め方だけがすべてではないのですが、これだけ覚えただけでだいぶ接続法への苦手意識がなくなりました。

今まで「主観的」「客観的」くらいしか目安がなかったので…!!

いやー、やっぱりフランス語って奥が深いです。好き、大好き。